Mikity2010-11-07

昨日は、所属している学会の長崎大会。
だから大学が会場だ。
学会が始まる前の企画として、
朝から、隣の特養ホームで、被爆劇を鑑賞、
そして”被爆者福祉学”の講演を聞かせて頂いた。
この被爆劇は、テレビのニュースで少し見たことがあった。
見たいと思っていた本物を、今回見させて頂くことができた。


始まりから鳥肌が立ちっぱなしだった。
入所者が100%被爆者の特養ホーム。
役者は、入所者の方とスタッフの方。
原爆が投下されて、”水をくれーっ””おかあちゃーん”と
叫び苦しむ人々の役は、入所者の方。
だからリアルだよね。本当にそうだったんだろうと思う。
車椅子だろうが、何だろうが”伝えよう!”という強い意志を感じたんだよね。
尊いお姿でした。


脚本は、その入所者の方の体験談だから、ノンフィクションなんだ。
”苦しむ人、死んでいく人を見て、可哀想とか悲しいという感情は
少しも起きなかった”
”頭の中は真っ白だった…”というナレーションが印象的だったんだ。
それどころじゃなかった、それぐらい衝撃的で、
破壊的だったんだということだ。


いかに次世代に伝えるか。
そう考えた時に、体験記を書こう!と。
しかし、最初はその語ることも嫌だった…思い出したくないって。
そういや、ぢいちゃんも戦争のことは語らなかったな。
…そりゃそうだ、まして書くなんてことはその場面を思い出して、
考えて書くってこと。
そんなことしたくない、思い出したくないという方がほとんどだった。
しかし、被爆しながら”生きている”ということ。
被爆者が回復して生きているということが、素晴らしいということ。
ヨハネ・パウロ2世が訪問されて(入所者の方)変わったと。
語るようになった、聞いて欲しいと。
”戦争は人間の仕業です、生命の破壊です”


そして体験記にするだけじゃダメだ、いかに伝えるか。
”劇にしよう”という経緯があるということ、
そして、毎年毎年、脚本は違うということ。
朝、受付が始まる前に行ったら、舞台の前に入所者の方がいらしたので
少し話をした。目が見えないとうことだった。
劇が始まってみると、その方の体験記だったんだよね…。


被爆者福祉学と題して、話して頂いた先生のお話。
臭いについての件…。臭いっていっても人の焼ける臭いだよ…
”臭いって慣れるけど、ふとした時に思い出す”って。
そこのホームを建てられた先生の思い。
学会が始まって、休憩時間に関西からお見えになった人に、
景色は素晴らしいですね、でも坂が多いから障害者の方なんか
上がってくるの大変じゃないですか、
他に開けた土地あったんじゃないですか〜と言われた。
ブー、残念…。
被爆劇、被爆者福祉学の講義聞いたら、
そんな風には言えないはずなんだよね。


被爆者は)悪いガスを一杯吸った、人の焼ける臭いもさんざん。
川の水飲んだ人が、次々に死んで行った川は死体で隙間がないぐらい…
そんな被爆者が住む場所は、緑が一杯、太陽の光が燦々と差す場所に作る!!
”日本の福祉の好ましい姿にしたい”
施設の匂いを醸し出さない建築は?
ということで、あちこち見て廻られたということ。
そして外国留学の経験も生かし、
県内高校のドイツ人の美術の先生に建築委員長になってもらい、
委員会を立ち上げて建築に当った。
”(被爆者の)自尊心を高める”建築。
食堂を作る…かつての特養には食堂なんかなかった。
私が実習に行った施設(特養)もなかった。
ベットの上で食事なんだよね。病院じゃないのにね。
浴室、玄関ロビーを広く!と。
そしてターミナルを最初からやる、と。


学会が始まりました。
基調講演はいつもの先生だった、切れてたねー炸裂してたねー(笑)
ゼミのときよりさらに内容が濃くなっていた。
(学会を作られた)先生とのエピソードが素晴らしい。
福祉の感性を磨く、冷たい頭と熱い胸。
福祉は人なんだ、法律から福祉を見ない、人をみるんだということ。
実践からの積み重ねから学ぶ研究・・・歴史を軽視するな。
自分がこの研究に流れに居ることが、
これほど誇りに思った日はなかった気がする。


シンポジウムは異論反論…objection!
まあ、”福祉文化”の履き違えだろうね、発端は。
”それ”に対して福祉文化と言う言葉を使う必要があるのか、
他の学会で発表ればいいのじゃないか…など、怒り心頭だったね。
この学会を作られた先生は、他の学会で法律から問う福祉に疑問を持ち、
人間を見る福祉…その思いを理解した上での議論なのか、ということだ。
だから確かに、こんなに実践者の多い学会はないと思う…
だけど、研究の視点はないとね。


出版社の方が、一日目で帰られるということで、
会場を片付け、次の日の準備をし戸締まりをして、
懇親会会場へ向かおうとしたけど、
まだ段ボールに本を詰める作業をされていた。
彼女も学会員の一人だ。手伝った。
学会を作られた先生と本作りをされていた方だ。
本は箱に詰める時は、紙に包んでそして平積みにする、という
本の扱い方を学びました。普段どれだけぞんざいに扱っているかだね。
研究室に献本もして頂きました。
ありがとうございました〜